ここ最近、がらにもなくスタートアップ系のコーチやら審査員やらでちょこちょこ呼ばれる
そこで目にするのは、
「スマートに稼ぎたい/稼げるはずだ」
「新しいことをやらねばいけない」
と思いこんでる若者たちの姿
オンラインのみで
どうにかなるだろうと思ってる方が多すぎる。
オンラインと言っても、
しっかりSNSなりブログなりをがんばっているならまだしも、
HPはしっかり作りこむものの、つくりっぱなし
SNSを立ち上げても、ろくに更新しない方が多すぎる
この傾向は、スタートアップに限らず、
最近の「起業してる/起業しよう考えてる若い人たち」を見てても同様。
確かに、他にない魅力的なオンラインサービスで、うまくいくケースもある。
そういう話はメディアに乗りやすいので、
起業を考えてる若者たちの目に触れやすく
彼らを魅了するのもよくわかる。
広告費を捻出できるなら、戦略をしっかりねりあげて
オンラインで勝負することも可能だし、
一見、オンラインでスマートにスケールしているように見える事例も
実際には、しっかり広告を回していたり、裏でめちゃくちゃ泥臭い営業努力をしているのが常だけど、
多くの人たちはそれに気づけない
結果、
「スマートに稼ぎたい/稼げるはずだ」
「新しいことをやらねばいけない」
思考にしばられすぎてしまう。
でもそれだと結果が出ない(結果を出すにも時間がかかりすぎる)
だから、私は声を大にして言いたいのは、
「初動時は特に、泥臭い努力が売上アップのための最短ルート」だと
泥臭い営業でもやれることはすべてやるべし
起業してすぐは、認知度が低いから、なかなか仕事がもらえないのは当たり前。
どんなに素晴らしいサービスでも、そもそもあなたの商品サービスを買い手が知らないなら、購買/成約にいたることはない。
だからSNSをしっかり強化しつつ、泥臭く営業をかければいいのにと思う。
商売によっては、DMやちらしをポスティングするのだってあり。
先輩経営者をはじめいろんな人脈を開拓しつつ、受注先を紹介してもらうことだってできる。
BtoBビジネスであれば、見込み客となるクライアントリストを作って電話営業を一日30本(30社)かけるのもあり。
売上を伸ばすためにできることは実はたくさんある。
でもほとんどの人がやってない。
「スマートに稼ぎたい」とネットにだけに固執しちゃうと成果が出始めるまでに時間がかかる。
その分、成功する確度がだだ下がり。
もちろん、あれこれ営業戦略を練って実行した際は、必ずデータをとって、PDCAを高速回転は言わずもがな。
広告であれば、反応率や成約率等の重要指標に着目して(KPIをしっかり設定して)改善していく。
電話営業であれば、自社サービスをどう提示したらうまく商談に持ち込めたかも重要なデータ(スクリプトをしっかり作り、成約にいたる再現性を探る)。
あれこれやってみた結果、切り捨てる営業手法は当然出てくる。
時間は限られた貴重なリソースなので、成果が出ない非効率なものは(修正しても厳しいようなら)思い切って捨てることも大切なことだ。
泥臭く営業しつつも、YouTubeやインスタ、X(旧Twitter)がバズって売り上げにつながる、ということが起こるかもしれない。
そのときは、売り上げにつながったSNSに注力すればいいだけの話。
人並以上の商才があり、マーケティングセンスも抜群であれば、スマートにやったらいいと思う。
でも大半の人は、そうじゃないだろうから、泥臭い営業をなめちゃダメだよって言いたい。
新しいことをやらねばならない病
いろんなスタートアップコミュニティーを見ていると、
最先端のICTやAIを活用したスマートなビジネスモデルが目を引く。
それは当然といえば当然で、
VCがらみでお金を集めようと思えば、斬新でかつ現実的な路線の魅力的なビジネスモデルが注目されるから。
VRやAI、スマホアプリといったワードが飛び交う。
もちろん、そこが得意分野で競合に勝てるアイディアと自信があれば、突撃した方がよいに決まってる。
でも起業がすべて新しいアイディアやブルーオーシャンである必要はないのもまた事実。
新しいアイディアやサービスなんて、たいてい地球上の誰かが考えてるもの。大企業ならかなりの資金と人的資本を投入し、開拓してるはず。だから、自分が狙ってるマーケットが、いわゆるブルーオーシャンだった時は、注意した方がいい。大企業でも開拓できなかったニーズのない領域である可能性が極めて高いから。
斬新なアイディアやサービスを打ち出し、VCで資金調達できても、息長く右肩上がりで成長している会社はほんの一握りだしね(私はひそかに博打だとおもっている)
泥臭いビジネスや営業の具体例
その昔、自家焙煎したコーヒー豆販売をやってた。ただの趣味の延長だったのだけど。当時としては比較的珍しかったが、そこそこライバルはいた。でも、しっかり売り上げを伸ばすことができた。
初動は、地道な会社営業からはじめ、新聞広告やポスティングもデータをとりつつだったが、途中からは口コミであっという間に広がった。これもはじめは、泥臭い営業からはじまった。
最初は自宅を開放して塾もやった(家庭教師の延長)。ライバルはたくさんいたけど、気づけば、札幌市内6か所まで拡大するのに、1年半もかからなかった。最初のうちは、学校前でちらしをまいたり、来てくれそうな潜在顧客や教育関係者や知り合いひとりひとりに丁寧にメールやはがきを送り、ローカルイベントを開催したり。超泥臭い営業だ。
合コンコーディネーター、いわゆるマッチングパーティー事業。実はこれが私のはじめてのビジネス体験。大学1年生の終わりころの話。これもスタートは、バイト先(このころ、私は貧乏学生でバーや居酒屋等、いろんな飲食店でバイトしていた)に来てたお客様で、興味のある方限定で、チラシをまいたことからはじまった。今から考えても超アナログでよくがんばったものだ。気づけばそこそこ売上があがり、この事業は後にイベント企画会社に化ける。
教え子で不用品販売をやってるやつがいる。もともと金沢工大の教え子で、私が講義中にした起業の話に興味を持ち、私のところにやってきた。でも話を聞いても「やりたいことは特にないっす」でも「なんか起業したいっす」とのらりくらりとしていた。出会った当初はポンコツだったが、人間どこでどう化けるかわからない。
私は彼にこんなアドバイスをした。バイト以外で1円でもよいから自力で稼ぐことを課題に課し、それでも思いつかないというので、メルカリを勧めた。身の回りにあった使わないものを売る、いわゆるセドリだ。ところがその勢いたるやすごかった。その日のうちにメルカリでアカウントを開設し、身の回りのものを出品する。これがはじまり。小銭だが自分でお金を稼ぐ楽しさを覚え、面白くなってドハマり。その後、卒業生が残していった教科者やら家電やらを新入生向けに売る商売を始め(卒業生や部活の先輩方に片っ端から声をかけて回収してまわった、ザ・どぶ板営業)、月収100万をあっという間に達成。今は不用品回収会社をやっている。ビジネスが楽しくなりすぎたのか、大学は1年留年した後、結局、自分のビジネスでくっていきたいというので中退したのだが。
思いつくままに、私と私の教え子の例を4つほどあげたが、いずれも競合やライバル他社はいる。つまり新しさはない(ブルーオーシャンどころか場合によってはレッドオーシャン)。しかも、ネットのみで完結するようなスマートなものではない「泥臭さ」がある。リアルをからめた攻めの姿勢。でもそのいずれも、半年とかからず売り上げをしっかり立て、1年以内には法人化できている。
だから、私は声を大にして言いたいのは、
「初動時は特に、泥臭い努力が売上アップのための最短ルート」だと
手っ取り早くゼロイチを作りたいなら、競合が存在する領域で
泥臭いところから攻めた方が勝率は格段にあがるんだよ、と。